手のしびれ・痛みとの関係を医学生が解説
ハンドルを買い替えなくても、バーテープを巻き直すだけで握りの太さと手に伝わる振動は変えられます。ただし、バーテープで手のしびれが治るかというと、そこは話が別です。実際に巻き直した筆者の体験と、手のしびれの医学的な仕組みを分けて整理しました。
先に結論
- バーテープの巻き直しで変えられるのは、握りの太さ・振動の伝わり方・手のひらの当たり心地。ハンドルの形や幅は変わりません。
- 筆者はSupacazのバーテープに巻き直して、振動吸収性が上がり、握りの太さがちょうど良くなりました(個人の感想です)。巻くのは苦戦しましたが、YouTubeを見ればできました。
- 手のしびれの対策は、ポジションの見直しと手の位置を変えることが基本です。確認できた範囲では、バーテープの厚みがしびれを予防するという確かな証拠は見つかりませんでした。あくまで快適性を調整する手段の一つと考えてください。
- 力が入らない、しびれが続くといった症状があるときは、巻き直しで済ませず受診を考えましょう。
01ハンドルを買い替えずに握り心地を変える
握り心地が合わないとき、真っ先に思い浮かぶのはハンドルの交換かもしれません。でも、ハンドルは高く、幅やリーチを変えるとポジション全体に影響します。それに対してバーテープは、ハンドルをそのままにして、手に触れる部分だけを変えられるのが大きなメリットです。
手に触れる部分
- 握りの太さ
- 振動の伝わり方(クッション感)
- 手のひらの当たり心地・滑りにくさ
- 見た目の雰囲気
ポジションの土台
- ハンドルの幅・ドロップ・リーチ
- ブラケットの角度や位置(レバーの固定)
- ステムの長さ・サドルの高さ
つまり、ポジションそのものに原因がある不調は、バーテープでは解決しません。この記事では、バーテープで何がどこまで変えられるのかを、手のしびれの医学的な背景とあわせて見ていきます。
関連記事・カスタム 1万円以内でできるロードバイクのカスタム術 バーテープのように、手軽に変化を実感できるカスタムをまとめています。02バーテープと手のしびれ:医学的に何が起きているか
ロードバイクに乗っていて手がしびれるのは、手首や手のひらの神経が圧迫されたり、振動や荷重を受け続けたりすることが主な原因と考えられています。サイクリストに起こる尺骨神経のトラブルは、「ハンドルバー・パルジー(handlebar palsy)」と呼ばれることもあります。
尺骨神経(手首のギヨン管)
小指と、薬指の小指側にしびれが出やすい神経です。ブラケットやハンドルに手のひらの小指側が当たり続けると、手首の部分で圧迫されることがあります。
正中神経(手根管)
親指から中指あたりのしびれに関わる神経です。手首を反らした状態が長く続くと、手首の内側で圧迫されやすくなるとされています。
リスクを高める要因として、文献では長時間の荷重、繰り返す振動、手の位置やグローブの当たり方、ハンドル・サドルなどのセッティングが挙げられています。予防として共通して勧められるのは、ポジションの見直しと、走行中に手の位置をこまめに変えることです。パッド入りのグローブも選択肢として挙げられています。
バーテープの効果をどう考えるか
今回確認できた範囲のレビュー(下の参考文献)には、バーテープの厚みがしびれを減らすと示した記述は見つかりませんでした。「厚いテープで治る」と言い切れる根拠はなく、バーテープは手への当たりと振動を和らげる補助的な手段と考えるのが妥当です。
03筆者の巻き直し体験:Supacazに替えてみた
ここからは、筆者が実際にSupacazのバーテープへ巻き直した感想です。先にお断りしておくと、筆者自身は手のしびれを経験していません。なので「しびれが治った」という話ではなく、握り心地の変化についての話になります。
良かった点
- 振動吸収性が上がった:走行中の細かい振動が、以前より手に伝わりにくくなったと感じました。
- 握りの太さが最適化された:手に合う太さになり、握ったときのしっくり感が良くなりました。
- ハンドルは替えていない:ポジションを崩さず、握り心地だけを変えられました。
大変だった点
正直に言うと、巻くのには苦戦しました。でも、YouTubeの解説動画を見ながらやれば、ちゃんと巻けます。初めてでも、動画で手順を確認しながら進めれば大丈夫だと思います。
筆者が使ったのはSupacazのバーテープです。リンク先は「Suave(Black)」で、エンドプラグ付きです。
04自分に合う握りは? セルフチェック
当てはまるものにチェックを入れると、バーテープの見直しで試せることと、先に確認したいことが出ます。
手の悩みセルフチェック
診断ではありません。目安として使ってください。
※一般的な情報をもとにした目安で、診断や治療の代わりにはなりません。症状が気になるときは医療機関で相談してください。
05巻き直しの流れと、つまずきやすい点
詳しい手順は動画のほうが分かりやすいので、ここでは全体の流れと、失敗しやすいポイントだけを整理します。使うバーテープの付属説明書も確認してください。
全体の流れ
- 古いバーテープを外し、ハンドルに残った粘着剤を拭き取る
- ブレーキレバーのフード(ブラケットカバー)を、巻く邪魔にならないようめくる
- ハンドルエンド側から、重ねる幅をそろえながら巻いていく
- レバー周りは、バーテープの説明書に従って、すき間が出ないよう処理する
- 巻き終わりを固定し、エンドプラグを差し込む
- 巻く向き:向きには決まりがあり、逆に巻くと手の力でほどけやすくなります。動画で必ず確認してください。
- 重ねる幅と引っ張り具合:できるだけ一定にすると、見た目も握り心地も整います。
- 慣れるまでは時間に余裕を:筆者も苦戦しました。やり直しがきくよう、焦らずに進めるのがおすすめです。
巻いたあとは、実際に走って、握りの太さと振動の感じ方を確かめてみてください。もしまだ手が痛いなら、バーテープより先に、ポジションと手の位置を見直すのが近道です。
06よくある質問
バーテープの巻き直しは自分でできますか?
筆者は巻くのに苦戦しましたが、YouTubeの解説動画を見ながらできました。最初は時間がかかるので、余裕のあるときに挑戦するのがおすすめです。
バーテープを厚くすれば、手のしびれは減りますか?
確認できた範囲では、「厚みでしびれが減る」と示した文献は見つかりませんでした。握りやすさや振動の感じ方が変わることはありますが、しびれにはポジションの見直しや手の位置を変えることが基本です。
巻き直しで握りの太さは変わりますか?
はい、変わります。筆者の場合は、巻き直したことで握りの太さがちょうど良くなりました。ただし、手の大きさとの相性は人それぞれで、個人差があります。
病院に行ったほうがいいのは、どんなときですか?
指に力が入らない、物を落としやすい、しびれや痛みが数日以上続く、夜間にも症状がある、手の筋肉がやせてきた、などのときは、巻き直しで様子を見ずに受診を考えてください。迷ったら、整形外科などで相談するのが安心です。
07あわせて読みたい
参考文献・情報源
- Kopcik K. Guyon canal syndrome and handlebar palsy – summary of available knowledge. J Pre-Clin Clin Res. 2023;17(1):23–26. https://www.jpccr.eu/…
- Physio Network(Ian Gatt氏による紹介). Preventive strategies, exercises and rehabilitation of hand neuropathy in cyclists: a systematic review. https://www.physio-network.com/…
※この記事は一般的な情報提供を目的としており、診断・治療を目的としたものではありません。症状には個人差があります。気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。
