マチュー・ファンデルプールのペダリング解剖学:大臀筋の使い方がロードバイクの常識を覆す理由

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BIOMECHANICS / PEDALING

マチュー・ファンデルプールのペダリングを大臀筋から解剖する

一定のトルクを踏み続け、トラクションを抜かない。シクロクロス出身のマチューのペダリングは、脚の「太さ」ではなく大臀筋の使い方に秘密があります。ただし、形だけ真似れば体を壊します。

導入:シクロクロス出身が生む「抜けない」トルク

マチュー・ファンデルプールのペダリングで目を引くのは、ピークパワーの大きさ以上に、クランク1周を通じてトルクが途切れにくいことです。泥や急斜面、不整地で後輪の接地を保つ必要があるシクロクロスでは、回転の一部だけを強く踏む走り方はスリップに直結します。

この「トラクションを抜かない」要求が、一定トルクで踏み続けるペダリングを磨いてきた、というのが本記事の出発点の仮説です。なお、ここで述べる動作の解釈は映像から読み取れる範囲の推論であり、本人の筋活動を実測したデータではありません。

マチュー・ファン・デルプールのペダリング

解剖学的分析:前ももではなく股関節で踏む

下ハンドルと深い股関節屈曲

下ハンドルを握ると上体は前傾し、トップ付近で股関節は深く屈曲します。この姿勢では大腿四頭筋だけで押し下げるより、股関節の深い屈曲位から伸展させる大臀筋の仕事量を増やしやすくなります。大臀筋は股関節伸展の主働筋で、伸ばされた位置から力を出す局面に強みがあります。

大臀筋とハムストリングスの協調

ハムストリングスは股関節伸展と膝関節屈曲の両方に関わる二関節筋です。踏み込みでは大臀筋が股関節を伸ばし、ハムストリングスが股関節伸展の補助と、ペダル下死点付近からの引き戻しに関与します。前ももに偏らず後面の筋群を協調させることで、上死点から下死点までトルクの谷を埋めていると解釈できます。

読者への警告:形だけ真似ると腰を壊す

深い前傾と深い股関節屈曲は、骨盤を安定して保持できる体幹と殿部の筋力があって初めて成立します。基礎筋力が不足したまま同じ姿勢を取ると、次のことが起こりやすくなります。

  1. 骨盤を固定できない。大臀筋の出力が足りず、踏み込むたびに骨盤が揺れる、または後傾します。
  2. 腰部で代償する。不足分を脊柱起立筋が補い、長時間にわたり腰椎周囲へ負荷が集中します。
  3. 障害リスクが上がる。腰部の筋疲労や痛みにつながりやすくなります。

プロの形は、長年の筋力トレーニングと走り込みの結果です。形だけを写し取る行為は、結果だけを真似て土台を飛ばすことに等しく、おすすめできません。すでに腰痛がある方、痛みが続く方は、真似を試す前に整形外科などの医療機関に相談してください。

ウエイトトレーニングの必然性

ペダリングは低負荷で高回数という性質を持ちます。この刺激だけでは、大臀筋の最大筋力を大きく伸ばし続けるには不十分です。最大筋力を上げるには、筋に高い張力をかける抵抗運動が有効で、一般的には負荷を段階的に上げていく漸進性過負荷の原則が基本になります。

実際にプロ選手もこの考えに沿っています。マチューのチームメイトであるスプリンター、ヤスペル・フィリプセンがウエイトトレーニングに取り組む様子を以下に示します。自転車に乗るだけでなく、フリーウエイトで殿部を含む下半身の筋力を鍛えていることがわかります。

Instagramでフィリプセンのトレーニング動画を見る
ヤスペル・フィリプセンのウエイトトレーニング(Instagramより)

FIT24への誘導:自重の限界と環境選び

自重スクワットが頭打ちになる理由

大臀筋は体の中でも大きな筋で、扱える負荷が大きい筋です。自重スクワットの負荷は体重で固定されており、慣れてくると筋力の向上に必要な張力を与えにくくなります。負荷を段階的に上げられないことが、自重トレーニング最大の力学的な限界です。

必要なのは高重量を扱える環境

大臀筋の最大出力を上げるには、バーベルなどで負荷を細かく増やせるフリーウエイト環境が必須だと考えるのが妥当です。まずは近くにフリーウエイトを備えた24時間ジム「FIT24」があるかチェックしてみてください。通える範囲にあるかを確認するだけなら、費用も覚悟も必要ありません。

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※店舗の有無・設備・料金は公式サイトで必ずご確認ください。

本記事は医学生の立場から、公開されている映像と一般的な運動生理学の知見に基づいてまとめたものです。個別の症状に対する診断や治療の助言ではありません。

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